猫目先輩の甘い眼差し


ドキッと心臓が音を立てた。

リュックが緩衝材みたいになってて、ピタッと密着はしてないんだけど……それでも近い。


とはいえ、両手で後ろを持つと、体が離れて少し不安。

せっ、先輩に抱きついちゃうのは、運転しづらくなりそうだし……。


悩んだ結果、片方ずつ掴むことに。

こっちのほうが、ドキドキと恐怖感が半々になっていいかも。



「準備はいい?」

「はい! 大丈夫です!」



元気よく返事をしたら、エンジンがかかり。



「じゃあ今から発進しまーす。何かあったらすぐ教えてね」

「はいっ! よろしくお願いします!」



ゆっくりとバイクが動き出した。


住宅街で車通りがないというのもあって、速度は20キロと遅め。

だけど、車道に出たらこの倍以上の速さ。

怖くないように慣らしてくれているのかな。



「市瀬さん、テストどうだった?」

「全教科全問解けました。手応えありです。先輩はどうでしたか?」

「俺も。全部解けたから自信あり」

「おお〜っ、さすが未来の獣医さん!」

「いやいや、市瀬さんもでしょ」
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