猫目先輩の甘い眼差し


走行音が響く中、会話を楽しむ。


2日前に終わった中間テストは、無事上手くいった。

ただ、授業中、ツーリングのことで頭がいっぱいで、時々上の空になっていた。


今回はなんとか良かったけど、次からは気を引き締めなきゃ。

いちいちドキドキしてたら、勉強に集中できないもんね。



──安全運転で5分ほど走った後。



「そろそろ車道に出るけどいい?」

「はいっ」



ついにきたか……。


大丈夫。車と一緒に走るのは自転車で慣れてるし。さっきも笑いながら話せてた。

少しスピードが速いだけ。ちゃんと防具も着てるから大丈夫。


停止中にゴクリとつばを飲み込むと。



「もし限界って感じたら、すぐ教えてね」



目の前から聞こえた、安心感のある柔らかい声。


……すごい。あんなにドキドキしてたのに、一瞬にして和らいじゃった。

もしかしたら犬や猫だけじゃなくて、人間にも効果があるのかな。



「はい。わかりました」

「よし、じゃあ行くよ」



最後にもう1度確認し、私達はゆっくり車道へと出た。
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