猫目先輩の甘い眼差し
笑いながらゴミを片づける一ノ瀬先輩。
黒金高校近くの病院で生まれたとのことだけど、幼稚園に入るタイミングで引っ越したのだそう。
これから行くのは中学時代を過ごした場所らしい。
「引っ越しが多かったんですか?」
「うん。お父さんが警察官でさ、転勤が多かったんだよ」
け、警察官……⁉ かっこいい……!
「だから親子揃ってバイクに乗ってたんですね」
「そうそう。俺も昔は目指してて……長くなるから後で話すよ。ゴミちょうだい」
「は、はいっ。あっ、お金……」
「いいよ。こないだ背中綺麗にしてくれたお礼」
「先行ってて」と言い残して、一ノ瀬先輩はゴミを捨てに店内へ。
気になるところで話を中断したかと思えば。
サラッと奢って、ゴミまで回収してくれるなんて。
これが年上の、大人の余裕……。
「かっこいい……」
✾✾
再び景色を楽しむこと1時間。
大きなビルや看板が立ち並ぶ町にやってきた。
「あともう少しで着きまーす」
「はーい」
信号待ち中に、目だけを動かして観察する。