猫目先輩の甘い眼差し
前後左右、四方八方に、車、車、車。
横断歩道も、学校付近の大通りよりも、1.5倍は長い。
あまり地元を出て遊んだことがなかったから、刺激が強くて目がチカチカする。
これが都会か……。
右左折を繰り返し、街の喧騒を抜けて土手にやってきた。
バイクから下りて芝生の上に座る。
んー、風が気持ちいい。
「ここ、休日によく友達と来てて、みんなで遊んだり昼寝してた」
「こんな不安定な場所で寝てたんですか?」
「うん。俺は平気だったけど、友達は下に転がってたかな。こうやって、何回も止めてた」
「うわぁ、大変でしたね」
面白おかしく再現する一ノ瀬先輩だけれど……なんだか少し寂しそう。
転校してからあまり会えてないのかな。
「さっきの話の続きだけどさ」
「はいっ。引っ越しが多かったって話でしたっけ」
「そうそう。それで俺、今までに6回転校してるんだよ」
「ろ、6回……⁉」
予想外の回数に目を丸くした。
17歳で6回だとすると……2、3年のペースで引っ越してたの⁉