猫目先輩の甘い眼差し
2人きりの課外活動
◇◇



「おはよー。おわっ!」

「うおぉ! 大丈夫か⁉」

「おぅ。まーた滑っちまった」



月曜日の午前8時過ぎ。

1ヶ月前と似たようなやり取りが、教室の入口にて繰り広げられている。



「とうとう来たね……」

「だね……」



後ろの席で月香ちゃんと顔を合わせ、頷く。

6月中旬。植物にとっては嬉しく、人間にとっては憂鬱な梅雨の季節がやってきた。



「毎年テンション下がるよね。髪は広がるし、滑りそうになるし」

「うんうん。木材も腐るし。もう、やっと五月病乗り越えたのにー」



DIY部ならではの悩みを吐露し、机に突っ伏した月香ちゃん。


先週席替えして、また隣同士になれたのに、朝からこの雨。

今年はいつまで続くだろうか。
夏休みが始まる頃には終わっていますように。



「おはようお2人さん」

「あっ、おはよう」



持参した手持ち扇風機で湿気を飛ばしていると、樫尾くんが登校してきた。



「おはよう樫尾くん。髪の毛綺麗だね」

「えっ⁉ あ、ありがとう……」
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