猫目先輩の甘い眼差し
寝ていたはずの月香ちゃんに突然褒められて、少し戸惑いながら私の前に着席した樫尾くん。
くじ引きで決めたんだけど、奇跡的にまた同じ列になったのだ。しかも今回は前後。
前よりもおしゃべりする時間が増えそう。
「そうだ。今日先生休みで、部活ないのは知ってる?」
「うん。今朝一ノ瀬先輩から連絡来てたし」
「なら良かった。颯と話したんだけど、放課後空いてるなら、一緒に勉強しない?」
「いいよ!」
「いいなぁ。私もいい?」
樫尾くんと話を進めていると、隣から仲間に入れてほしそうな声が聞こえた。
「えっ、大丈夫なの? 部活掛け持ちしてるんじゃ……」
「大丈夫! 勉強会で少し遅れますって言えばいいから! 急だけど、いいかな?」
「もちろん。颯に伝えとくね」
「ありがとう!」
嬉しそうに目を輝かせた月香ちゃん。
そんなに仲間に入りたかったのか。
まぁ、1人だけ部活違うし。目の前で話してたら羨ましいなと思うよね。
だけど。
「人見知り、治ったの?」
「少しだけ。まだ完全じゃないけど、元クラスメイトなら大丈夫かなって」