猫目先輩の甘い眼差し
中央広場に来た瞬間、突然腕を取られて、近くの眼鏡屋さんに連れ込まれた。
かと思えば、真っ黒いサングラスを手渡され、早くかけてと促された。
「いきなりごめんね」
「いえ……。どうしたんですか? 誰かいたんですか?」
「あぁ。あそこのカフェ。零士と琳子がいる」
コソッと耳打ちして、柱の陰に移動。
そっと顔を出して確認すると、向かい側のカフェに、一ノ瀬先輩と朝日先輩が並んでいるのを見つけた。
「あいつめ……俺の誘いを断って、敵グループとデートかよ」
「デート……⁉」
急いで身を隠し、何があったのかを聞き出す。
どうやら、先日『動物園に行こうよ』と、朝日先輩を誘ったらしい。
しかし、その日は先約があるからと断られたそうで。
「一ノ瀬先輩から何も聞いてないんですか?」
「全く。女友達と遊びに行くのかと思ったら、なんで零士と……」
ブツブツと不満を漏らしている。
幼い頃からの仲で、今では部活と同好会を引っ張る者同士。もし遊ぶとしたら一声かけるはず。
なのに、何も聞かされてないということは、朝日先輩に口止めされていた可能性が高い。