猫目先輩の甘い眼差し


「すみません……」

「いいっていいって。あんな派手なやつが入口んとこにいたら、そりゃ初めは誰だってビビるよな」

「…………」



ごめんなさい。初めてじゃないんです。2回目なんです。1度見てるんです。

ただ私が怖がりなだけで、臆病なだけなんです。


なんて、恥ずかしくて言えず、黙り込む。



「あの、朝日先輩はいつもあんな感じなんですか……?」

「ん? まぁ、そうだな。昔からあのまんまだよ」

「そうですか……」



カタログを下ろし、蚊の鳴くような声で返事をした。



「なに、あいつが羨ましいの?」

「はい。見た目も中身も完璧じゃないですか」



以前から薄々感じていたこと。


いつも髪型はキマってるし、肌つやもスタイルもいい。

そして今回、服装も、自分に似合う物をわかっている気がした。

私とは違って、何倍も美意識が高い。



「ええー、そう? 俺は市瀬さんのほうが完璧だと思うけどなぁ。優しいし、穏やかだし。あと言葉遣いも綺麗だし、暴力も振るわないし……」
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