猫目先輩の甘い眼差し


並べられた特徴、1つ1つが胸に突き刺さる。


朝日先輩はサバサバした性格で、ハッキリものを言うタイプ。

顔を合わせるごとにケンカになりがちな先輩からしてみれば、礼儀正しくて慎ましい私のほうがマシだと感じるのかもしれない。


だけどそれは、本性を抑えているからであって。


私が今ここで、神経質な一面を見せたら、感情任せに言いたい放題言ったら。

朝日先輩と変わらないどころか、さらに酷いとドン引きするだろう。



「そう言っていただけてありがたいです。けど、私、そんな出来た人間じゃないですよ。部室でも大声上げましたし……」

「あぁ、あれ? でも注意しただけでしょ。後でちゃんと謝ってたじゃん。叱る人はいても、その後のフォローもできる人はなかなかいないよ」



優しい言葉が、再び胸を突き刺した。


目黒先輩も、一ノ瀬先輩と同様に、冗談は言うけど嘘はつかないタイプ。

というより、感情が顔に出やすくて嘘がつけないタイプ。

本心で言っているからこそ、ますます罪悪感が強くなる。



「会長で副部長の俺が言うんだから、自信持って! さ、行くよ!」

「ありがとうございます……」
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