猫目先輩の甘い眼差し


励ましの言葉をもらい、尾行を再開。

したけれど、仲睦まじい姿を眺めていたら、だんだん苦しくなってきた。


人生経験が豊富で、寛大で考え方も大人な一ノ瀬先輩。

少々気は強いものの、飾らない性格の朝日先輩。


励ましてもらったけど、人間的魅力は、先輩達のほうが上だと思う。それに加えて容姿も申し分ない。


比べたって意味がないことくらいわかってるのに……。



✾✾



その翌日。



「よしっ、終わった」



宿題を終わらせて、凝り固まった上半身を伸ばした。

5時半過ぎ。まだ準備中かな。
やることもないし、手伝いに行くか。


机の上を片づけ、晩ご飯を準備している母の元へ向かう。



「ねぇ、何か手伝うことある?」

「世蘭! ちょうど良かった! ちょっと醤油買ってきて!」



そう尋ねながらリビングのドアを開けた瞬間、キッチンで作業している母におつかいを頼まれた。



「ええーっ、今から? 買ってないの?」

「買う物が多かったから忘れちゃって。お願い! お釣りはそのままあげるから!」

「……はーい」
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