猫目先輩の甘い眼差し


今月2度目の溜め息混じりの返事をし、スマホと500円玉を握りしめて外に出た。


こんな西日が強い時間におつかいだなんて。
車持ってるお父さんに頼めばいいのに。

……って思ったけど、出かけてていないんだっけ。

何時に帰ってくるか、今どこにいるかわからないなら難しいか。



ジャカジャカと自転車を漕ぐこと10分。行きつけのスーパーに着いた。

息切れしつつ店内に入り、真っ先に調味料コーナーに向かう。


えーと、これでいいんだっけ。

母から送られてきた醤油の写真を確認し、レジへ。
しかし、夕飯時なのもあって混んでおり、少し時間がかかってしまった。



「急げ急げ……っ」



シールが貼られた醤油を自転車のかごに入れて、小走りでスーパーを後にする。


思ったより時間かかって、6時過ぎちゃった。

お父さんもう帰ってきてるかな。


夕日に手をかざしながら走っていると。



「うわっ!」



剣道場から出てきた人影に驚き、キキーッとブレーキをかけた。

あのサラサラの黒髪は、もしかして……。
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