猫目先輩の甘い眼差し
「大丈夫? のぼせちゃった?」
「っ、いえっ! なんともないですっ!」
見つめられていたことに気づき、途端に恥ずかしくなって慌てて顔を逸らす。
ダメだ。目合わせたら本当にのぼせちゃう。
バスの時間もあるし、お母さんも待ってるし。心配かけてないで早くおいとましなきゃ。
荒ぶる心臓を落ち着かせて口を開こうとしたその時。
「あのさ……昨日、雷夜とショッピングモールに来てた?」
のどから出かけた声が詰まり、額の汗がこめかみを伝った。
「見間違いだったらごめんね。一緒に回ってるの見かけたから」
「っ……」
伝っていた汗が一瞬にして冷や汗に。
嘘、気づいてたなんて。一体いつから……⁉
「……はい。でも、一緒に来たわけではなくて、偶然会ったんです。お互いに1人だったので、せっかくならと……」
「そうなんだ。大丈夫だった? 連れ回されたりとかしてない?」
「はい。用事が済んだ後に会ったので……。先輩も来てたんですね」
「うん。新しい動物いないかなって思って。今度は猫ちゃん抱っこしたんだよね」