猫目先輩の甘い眼差し
猫を飼う前は犬を飼っていたので、最初はその時に使っていた柵を立てた。
のだけど……軽々飛び越えてしまい、全く効果がなく。
それで猫用のを新しく買ったのだ。
「なるほど。だから高い所から飛び下りても平気なんだね」
「猫ちゃんすご〜い」と感心している月香ちゃん。
確かに猫の身体能力はすごい。
自分の身長よりも何倍も高く跳べて、着地も綺麗。
だけど……。
「猫の運動神経もすごいけど、それよりも、あのトラ吉を手懐けたお兄さんがすごいなって思ったよ」
トラ吉がまだ保護猫だった頃、里親希望の人達と何度か対面させたことがあった。
しかしトラ吉は、毎回全力で拒否した。
顔を見ればそっぽを向き、触ろうとすれば逃げて、時にはシャーッと威嚇。
笹森くんも、顔を合わせた時に激しい猫パンチをお見舞いされたらしい。
このままじゃ譲渡ができない!
そう思って、少しでも人に慣れさせるために、お客さんを家に招いた。
けど、慣れるどころか嫌がり、余計悪化。
他の兄弟達が貰われていく中、生後半年を過ぎてもなかなか改善されず……。
結局最後まで残ってしまった。