猫目先輩の甘い眼差し
「第1試合って聞いたから、結果が気になって来ちゃった。どうだった?」
「勝ったよ! ただ、月香ちゃんがダメージ食らっちゃった」
「えっ、ケガしたの?」
「ううん。スパイクをモロに受けてね」
後ろにいる月香ちゃんと顔を合わせる。
まだ回復していないのか、一言も発さずコクコクと頷いている。
「それは大変だったね。顔に当たらなくて良かったよ。あと何試合あるの?」
「2試合。次が3年生で、最後が2年生。樫尾くんは、まだ泳いでない?」
「うん。だから今、色んなところ回ってる。試合、観れそうだったら来るから。お互い頑張ろうね」
そう言い残した樫尾くんは、手を振って体育館を出ていった。
全競技見て回って、やる気チャージしてるのかな。
すると、隣のコートから飛んできたボールがバウンドして私達の目の前を通過した。
「ひいっ!」
「だ、大丈夫?」
「うん……」
私の両肩を掴んで「ビックリした……」と囁いた月香ちゃん。
心を休めるためにも、とりあえず観覧席に避難するか……。