猫目先輩の甘い眼差し


見守っていると、平泳ぎの人が帰ってきて、バタフライの人にバトンタッチした。

順位は……今、横一列に並んだ。

そのまま折り返し、5メートル進んだところで、なんと頭1個分前に出た。



「わー! 2位だ! すごいすごい!」

「逆転したね!」



興奮して体を揺らす月香ちゃんと顔を合わせる。

速度を上げて、どんどん差を広げていくクラスメイト。


一方4番レーン、3年2組はというと……。



「一ノ瀬先輩入ったよ!」

「う、うん!」



私達のクラスがラスト5メートルに差しかかったタイミングで入水。

その数秒後に、樫尾くんもプールの中へ。



「樫尾くん頑張れー‼」



入水した瞬間、男子並みの声量で応援し始めた月香ちゃん。

声援が耳に届いたのか、激しい水しぶきを上げてぐんぐん進んでいく。


ちょっと待って、だんだん追いついてきてない⁉
結構離れてたのに、もう先輩の足元にいるなんて。


樫尾くんの猛追により、場内の熱気は最高潮に。

ほぼ同時に折り返して、とうとう横一列に並んだ。



「きたー‼ 樫尾くんいけーっ‼」

「っ……」
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