猫目先輩の甘い眼差し
目の前で繰り広げられる光景に声を詰まらせる。
クラスメイトなんだから、樫尾くんを応援するのは当然のこと。
なんだけど……。
『よし、午後の分の充電完了』
『俺のことも応援してくれないかな』
もちろん応援してますよ。今も心の中で声援を送っています。
高校最後の大会、悔いなく終えてほしいですから。
「世蘭ちゃん! ほら! 応援応援!」
「う、うんっ」
追い越しては追い抜かれを繰り返す2人。
まさか本当に一騎打ちになるなんて思わなかった。
どっちも負けてほしくない。勝ってほしい。
だから──。
✾✾
「市瀬さん、お疲れ様」
「先輩こそ、お疲れ様です。それと……優勝おめでとうございます」
スポーツ大会が幕を閉じ、駐輪場にて一ノ瀬先輩にお祝いの言葉を贈った。
片手に握られた小さな花束。
結果は、ほんのわずかな差で一ノ瀬先輩が先にゴールし、見事優勝。
ちなみに、準決勝に進んだバドミントンは、3位という結果となった。
「素晴らしい泳ぎをありがとうございました。感動しました」
「えー、そう? なんか照れるなぁ」