猫目先輩の甘い眼差し
「本当にいいんですか……?」
「うん。香りとか、苦手じゃなかったら」
「……ありがとうございます」
恐る恐る花束に手を伸ばし、鼻から息を吸い込んだ。
……いい香り。部屋に置いたらぐっすり眠れそう。
「あの、どうして私の声が聞こえたんですか? 他にも応援してた人、たくさんいたのに」
「それは…………好きな人の声だったからだよ」
少し目を伏せた後、真剣な眼差しを向けてきた。
えっ……それって……。
「あぁ〜っ、腹減った〜」
「マジそれ〜。なんか食ってから帰る?」
目を見開いていると、校舎裏から男子の声と足音が聞こえた。
嘘っ、近づいてきてる⁉
花束持ってるし、このままじゃ……。
急いでバッグのチャックに手を伸ばしたけれど。
「こっち来てっ」
一瞬にして腕を掴まれて、小走りでその場を後に。
周りに人がいないのを確認しつつ、数時間前に来た場所に身を隠した。
「いきなりごめんね。あのままだと誤解されると思って」
「いえ……っ」