猫目先輩の甘い眼差し


「うわ、どうしよう。めちゃめちゃ嬉しい。これ現実だよな? まさかドッキリじゃないよね?」

「ちょっ、なんでドッキリなんですか。先輩が先に言ったのに。夢じゃないですよ、現実です」



落ち着かせようと花束を顔に近づけた。


予想を遥かに上回る反応に、溢れそうになっていた涙が引っ込んでしまった。


先輩がこんなにベラベラしゃべってるの、動物の話以外で初めてみた……。

いくら嬉しいからって、こんなに口が止まらなくなること、ある⁉

なんか聞いててこっちが恥ずかしくなってくるんだけど……!



「落ち着きましたか?」

「……うん」



花の匂いで現実だと認識させ、ようやく静かに。

さすが、目黒先輩の幼なじみ。
改めてギャップの強さを思い知ったよ。



「うるさくしてごめんね。本当に嬉しくて。ありがとう」

「私こそ。ありがとうございます」



私も最初は、これは夢なんじゃないかと疑った。だけど、現実なんだよね。

視線を絡ませて笑い合いながら、両想いになれた嬉しさを噛みしめた。
< 208 / 312 >

この作品をシェア

pagetop