猫目先輩の甘い眼差し
✾✾



校内に人気がなくなった夕方。

自転車置き場に戻り、一緒に帰路に就く。



「あー、やっぱ尾行されてたんだ」

「き、気づいてたんですか⁉」

「うん。やけによく見かけるなぁって。あと、雷夜の声がデカかったから」



「ゴリラコブラって聞こえてさ」と口にした先輩。

朝日先輩とのデート現場を見たと伝えたところ、なんと、序盤から私達の存在に気づいていたらしい。


そういえば、付き合ってるのかを聞いた時、手をブンブン振って完全否定してたっけ。

しかもサングラスかけてて、見るからに顔隠してますって姿で。

だから途中で撒かれちゃったのか。



「すみませんでした……」

「いやいや、俺のほうこそ。黙っててごめんね。誰にも、特に雷夜には言わないでってお願いされたんだ」



やっぱり。そこは予想通りだったか。
だとしたら、樫尾くんが言ってた、個人的な問題とか……?



「でも、見られちゃったならしょうがないし。話すよ」

「いいんですか?」

「うん。朝日さんも、『雷夜が無理に誘ってごめんね』って謝ってたから」
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