猫目先輩の甘い眼差し
いつもと変わらない声のトーンで答えた樫尾くん。
あまり興味なさそうだと思ってたけど……嬉しいのか。ちょっと意外かも。
「ほほぉ。一ノ瀬先輩はどうかな? 好みの系統とか知って……」
「月香ちゃん! それ以上はいいって!」
さらに踏み込もうとしていた月香ちゃんの口を塞ぎ、強制的に終了。
様子見だと言われてたから、まだ伝えてなかったんだった。
樫尾くんの心をえぐらないためにも、ここはきちんと説明しなきゃ。
✾✾
「ええっ⁉ あの樫尾くんが?」
「まだ決まったわけじゃないんだけど、私にはそう感じたの」
昼休みの中庭にて。
月香ちゃんに順を追って説明し、今、内心気まずさを感じていると伝えたところ。
「うーん、私にはいつも通りの声に聞こえたけどなぁ。樫尾くん、朝はゆっくり起きてるって言ってたから、声が出にくかったのかもよ?」
と、意見した月香ちゃん。
言われてみれば……。
いつだったっけ。まだ最初の頃、みんなが登校する時間に起きてるって。
よく考えたら、起床して1時間未満で、いきなり大きな声は出にくいよね。