猫目先輩の甘い眼差し


「ただいま〜」

「おかえり」



月香ちゃんが帰ってきて、ざわざわしていた心が少し落ち着いた。


……言ったほうがいいかな。
でも、前に1回説明してるし……。

また言ったら、心配されちゃうよね。


そもそも、これは私と樫尾くん、零士先輩の3人の問題なんだから。関係ない人を巻き込んじゃダメ。

ここからは当事者だけで解決しないと。



✾✾



観光と夕食を終えて、宿泊する旅館にやってきた。

グループごとに分けられた部屋に入り、お風呂の時間が来るまでのんびり過ごす。



「ねぇ世蘭ちゃん、樫尾くんと何かあった?」

「えっ?」



座椅子に座ってくつろいでいると、同じグループの女の子に突然尋ねられた。



「毎朝月香ちゃんと一緒に挨拶してるじゃん。でも、今朝世蘭ちゃんだけしてなかったからさ」

「なになに、もしかしてケンカ中?」

「あー……」



すると、もう1人の子までもがやってきて、完全に逃げ場を失った。

肝心の月香ちゃんはというと、トイレに行っていて部屋にいない。


クラスメイトにまで気づかれてたなんて……。
気を遣わせちゃってたのかな。
< 259 / 312 >

この作品をシェア

pagetop