猫目先輩の甘い眼差し
「ただいま〜」
「おかえり」
月香ちゃんが帰ってきて、ざわざわしていた心が少し落ち着いた。
……言ったほうがいいかな。
でも、前に1回説明してるし……。
また言ったら、心配されちゃうよね。
そもそも、これは私と樫尾くん、零士先輩の3人の問題なんだから。関係ない人を巻き込んじゃダメ。
ここからは当事者だけで解決しないと。
✾✾
観光と夕食を終えて、宿泊する旅館にやってきた。
グループごとに分けられた部屋に入り、お風呂の時間が来るまでのんびり過ごす。
「ねぇ世蘭ちゃん、樫尾くんと何かあった?」
「えっ?」
座椅子に座ってくつろいでいると、同じグループの女の子に突然尋ねられた。
「毎朝月香ちゃんと一緒に挨拶してるじゃん。でも、今朝世蘭ちゃんだけしてなかったからさ」
「なになに、もしかしてケンカ中?」
「あー……」
すると、もう1人の子までもがやってきて、完全に逃げ場を失った。
肝心の月香ちゃんはというと、トイレに行っていて部屋にいない。
クラスメイトにまで気づかれてたなんて……。
気を遣わせちゃってたのかな。