猫目先輩の甘い眼差し
朝日先輩に支えられながら、階段を下りて体育館に向かう。
10センチの真っ白なハイヒールパンプス。
この17年間、履いたことがあるヒール靴は、せいぜい7センチ。10センチなんて未知の世界。
こんなフラフラ状態で、ステップなんて踏めるだろうか。
先輩の足を踏んでしまわないか心配なんだけど……。
「不安定な靴を履きこなせるなんて、朝日先輩はすごいですね」
「いやいや。私普段はスニーカーしか履かないから全然。練習しただけだよ」
「それでもすごいですよ」
右手は手すり、左手は先輩の手を掴み、一段ずつゆっくり下りていく。
こんなプルプルしてる姿、零士先輩には恥ずかしくて見せられない。
パーティー中は、ふらつかないよう気をつけなきゃ。
数分かけて階段を下り、ぎこちない足取りで歩いていると。
「あ、市瀬さんに朝日先輩!」
制服姿の笹森くんと樫尾くんに遭遇した。
「わぁ、綺麗ですね〜。お姫様みたいです!」
「えへへへへ。そう? ありがとう」