猫目先輩の甘い眼差し
左側で、誰かに似たような笑い声を上げた朝日先輩。
今頃、目黒先輩も零士先輩も、準備してるのかな。
「樫尾くんも月香ちゃんみたいに応援するの?」
「あっ、いや……」
「ううん! 郁海も俺と一緒に歌うんだよ!」
ええっ⁉ 一緒に⁉
1人で歌うのかと思ったら、デュエットだったの⁉
「へぇ〜! 何歌うの?」
「ラブソングです! 郁海、こう見えて甘い声出すんですよ」
「おい、その言い方やめろ。気持ち悪い」
ドスの利いた低い声でバッサリ吐き捨てた樫尾くん。
この声が、歌う時には甘々に……気になる!
月香ちゃんに動画撮っておいてってお願いしておこう。
彼らと別れて体育館にやってきた。
中を覗くと、場内に響く音楽に合わせて、ドレスやタキシード姿の人達が思い思いに踊っている。
まだ時間前なのに、みんな早いなぁ。
零士先輩はどこにいるんだろう。
「市瀬ちゃん、一ノ瀬くん真ん中のほうにいるって。雷夜はまだみたいだから、先に行ってて」
「わかりました。ありがとうございます」