猫目先輩の甘い眼差し
スマホ片手に教えてくれた朝日先輩にお礼を言い、人の合間を縫って奥へ進む。
時々、ぶつかりそうになるのを避けながら、一歩ずつ。
すると、踊る彼らとは対照的に、一本立ち状態の黒い服を着た男の人を見つけた。
目を奪われるような美しい横顔に、サラサラの黒い髪の毛。
「一ノ瀬先輩……?」
恐る恐る近づいて声をかけると、綺麗な黒髪がふわっと揺れて。
「市瀬さん……?」
目を見開いた彼と視線がぶつかった。
「遅れてすみません」
「ううん。合流できないかと思ってたから良かったよ」
ヒール靴を履いているせいで、いつもより顔が近い。
金のラインが施された、まるで王子様のような衣装。
優雅な黒猫と呼ばれている零士先輩にピッタリだ。
「かっこいいですね。すごく似合ってます」
「ありがとう。なんか照れくさいな」
対して私は、白のドレスワンピースを着用した。
髪の毛は、後ろで1つに編み込んだみつあみヘア。
月香ちゃんにもらったスカーフを毛先に結んで、華やかに。
そして首周りには。
「あ、ネックレス着けてきてくれたの?」
「はい」