猫目先輩の甘い眼差し


零士先輩からの誕生日プレゼント、サファイアのネックレス。

ドレスアップするならピッタリかなと思い、持ってきたのだ。



「どうですか? 似合ってます?」

「もちろん。すっごく可愛いよ。今すぐ抱きしめたいくらい」

「ありがとうございます……」



ストレートな褒め言葉に、顔がボンッと熱くなる。


先輩のバカ。みんながいる前で、抱きしめたいなんて言わないで。

ただでさえ周りに交際がバレて、悪口言われないかドキドキしてるというのに。


口をへの字にして睨む私に、零士先輩はさらに。



「お姫様、僕と踊っていただけませんか?」



そう口にした瞬間、周りにいる生徒達がざわつき始めた。

なぜなら──私の目の前でひざまずき、手を差し出しているからだ。


呆然としている間に、ギャラリーは増えるばかり。


会場のど真ん中で、一体何考えてるの⁉

と思ったけど……これが、先輩の覚悟、なんだよね。



「……はい。もちろん」



意を決して、差し出された手を取ると。



「ありがとう」



大きな目が細められて、手の甲にそっと口づけが落とされた。
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