猫目先輩の甘い眼差し
✾✾



ダンスパーティー終了後。
母との約束通り、一足早く帰宅することに。


只今の時間は、夜の8時過ぎ。

体操服に着替えて、零士先輩と一緒に駐輪場にやってきたわけなのだけど……。



「先輩、なんてことしてくれたんですか」

「ん? 何が?」

「キスですよ! キス! あんな人前でやるなんて聞いてないですよ!」



防具を身に着けながら腹を立てる。


大勢の注目の的になりながらも、勇気を出して手を取ったというのに。

いきなり引き寄せて、キスするなんて。



「ごめんね。嬉しくってつい……」

「もう……」



その後に響いた、女子達の黄色い声ときたら……。

はぁ、明後日からどんな顔して学校に行けばいいの。



「今度から、2度と人前であんなことしないでください」

「……ごめんね」



きっぱり言い切ると、申し訳なさそうに、ヘルメットを被った頭を撫でてきた。


しまった……またきつい言い方しちゃった。

でも今回は、先輩に非があるから、これは仕方のないことだ。
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