猫目先輩の甘い眼差し
「あの、零士先輩」
「ん?」
「……さっきはすみませんでした」
ヘルメットをリュックにしまう彼に向かって、頭を下げた。
周りの反応が怖いという理由で、さらに照れ隠しも加えて、強く当たってしまった。
先輩に非があるからと、自分を正当化してたけど……だからって、偉そうに物を言っていい理由にはならない。
ダンス中も、ぎこちない私を支えてくれて。
交際に対しても、堂々と答えてて。
それに、こうやって送迎だってしてくれた。
「生意気な口利いて、本当にすみませんでし……うわっ」
言い終わる前に、グイッと引き寄せられた。
「そんなの、事前に言わなかった俺も悪かったんだから」
「ごめんね」と再度謝罪が聞こえて、頭をポンポン。
こんなにも大切に想ってくれているのに……バカなのは私のほうじゃん。
言わなきゃ。隠してた気持ちを。
「本当は、すごく嬉しかったんです」
「本当に?」
「はい。それと……」
もう少しだけ、一緒にいたいです。
と、聞こえたかわからないくらいの声で口にしたら。