猫目先輩の甘い眼差し
「もう、バタバタうるさいなぁ。あ、こんにちは」
「こんにちはっ」
すると、少し険しい顔をした男の子が、ドアの隙間から顔を覗かせた。
弟さん、だよね。
えっと、5個下って言ってたから……中1か。
この子も先輩と目元が似てて、猫目っぽい。
「もしかして、れい兄の彼女さんですか?」
「はい。はじめまして。市瀬世蘭です」
「こちらこそはじめまして。弟の由宇です。兄がいつもお世話になっています」
サラサラの髪の毛を揺らして、ペコッと頭を下げた由宇くん。
礼儀正しくていい子だなぁ。
と思っていたら。
「あの、世蘭さんは、れい兄のどこを好きになったんですか?」
「えっ」
「あと、この、猫命のスキンシップ大好き男をどうやって落とし……」
「由宇、ちょっと黙っとこうか」
言っている途中で、零士先輩が強引に口を塞ぎ、部屋から退出させた。
キッチンでお茶を準備している彼のお母さんも、クスクス笑っている。
「ったく、あいつは余計なことを……」
「あらあら。本当のことじゃない」
「だからって、世蘭ちゃんの前で言うなんて……」