猫目先輩の甘い眼差し
ブツブツ呟きながら私の隣に腰を下ろした零士先輩。
否定しなかったってことは、自覚してるんだ。
「……何?」
「いえ。なんでもないです」
「……酷い、世蘭ちゃんまで笑うなんて」
頑張ってこらえようとしたけれど、限界だった。
だって、スキンシップ大好き男って、そのまんまなんだもん。
ちょっぴり拗ねた彼に悪いなと思いながらも、彼の母親と会話を楽しんだのだった。
✾✾
「はい、どうぞ」
「お邪魔しまーす。わぁ綺麗」
しばらく談笑した後、2階にある零士先輩の部屋へ。
「机の上、教科書片づけたんですか?」
「うん。もう授業終わっちゃったし。今は1人暮らしの準備してる」
1月に行われた学年末テストを最後に、3年生は自由登校になった。
そんな中、零士先輩は見事志望校に合格。
今は新生活のために、部屋を片づけて掃除しているんだって。
つまり……。
「春から遠距離恋愛かぁ。寂しい」
「大丈夫ですか? 私がいなくても、頑張れそうですか?」
「……うん。動物達に癒やされながら、なんとか頑張るよ」