猫目先輩の甘い眼差し


唐突な同棲希望を受け、返事を濁した。



「大丈夫って、何が?」

「先輩、甘えん坊さんなので、四六時中くっついてそうだなと……」



付き合ってからも、毎週水曜日に時間を取って会っていた。

毎度おなじみの、人気のない校舎裏で。


受験勉強で疲れた心と体を癒やすために、ハグしたり、膝枕してあげたり。時には……キスしたり。


先輩のメンツを保つために、詳しくは言えないけど……。

好きと可愛いのオンパレードで、樫尾くんに見られた時以上に、デレデレの甘々になっていたの。


同棲したら高確率で、おはようからおやすみまで、ずっとひっついてそうな未来が見える。



「食事中も、お風呂やトイレに行く時も、『どこ行くの? 離れたくないよ』って言いそうでちょっと……」

「トイレ⁉ ないない! 赤ちゃんじゃないんだから!」



ふははっと噴き出す声が聞こえて、少しホッとした。

のもつかの間。



「まぁ……一緒にお風呂は入ってみたいかな」



そう発言した後、お腹に回っていた腕にキュッと力が入り、より強く抱きしめられた。
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