猫目先輩の甘い眼差し
「うわぁ、耳真っ赤。何想像したの?」
「べ、別に何もっ」
「えー、怪しい」
「怪しくないです! そもそも、先輩が変なこと言うからじゃないですか」
「いやいや。世蘭ちゃんが先にお風呂って言ったんだよ?」
「ずるいっ、私のせいだって言うんですか?」
バックハグ状態のまま言い合う。
顔は見えないけれど、今、零士先輩がどんな表情を浮かべているのか、手に取るようにわかる。
満面の笑みで、ちょっぴり意地悪な顔をしてるに違いない。
だって……さっきのセリフ、全部耳元で囁くように言われたんだもん。
「そういう先輩こそ、想像したんじゃないんですか?」
「さぁ、どうでしょうか」
答えを濁したけれど、絶対想像したよね。
というか、現在進行形で想像してるよね。
お腹に回っていた手が、今、脇腹を擦ったから。
「あの……ちょっといいですか」
腕を振りほどいて立ち上がり、隣に座り直す。
「さっき言ってた、こと、ですけど」
「お風呂のこと?」
「はい。それは…………今よりも、深い関係になりたいって意味ですか……?」