猫目先輩の甘い眼差し


「うわぁ、耳真っ赤。何想像したの?」

「べ、別に何もっ」

「えー、怪しい」

「怪しくないです! そもそも、先輩が変なこと言うからじゃないですか」

「いやいや。世蘭ちゃんが先にお風呂って言ったんだよ?」

「ずるいっ、私のせいだって言うんですか?」



バックハグ状態のまま言い合う。

顔は見えないけれど、今、零士先輩がどんな表情を浮かべているのか、手に取るようにわかる。


満面の笑みで、ちょっぴり意地悪な顔をしてるに違いない。

だって……さっきのセリフ、全部耳元で囁くように言われたんだもん。



「そういう先輩こそ、想像したんじゃないんですか?」

「さぁ、どうでしょうか」



答えを濁したけれど、絶対想像したよね。
というか、現在進行形で想像してるよね。

お腹に回っていた手が、今、脇腹を擦ったから。



「あの……ちょっといいですか」



腕を振りほどいて立ち上がり、隣に座り直す。



「さっき言ってた、こと、ですけど」

「お風呂のこと?」

「はい。それは…………今よりも、深い関係になりたいって意味ですか……?」
< 305 / 312 >

この作品をシェア

pagetop