猫目先輩の甘い眼差し


恐る恐る尋ねると、私を映す目の前の大きな瞳が揺れた。


明日でちょうど、交際7ヶ月。

世の中のカップル事情は知らないけど、半年も経てば、何かしらの節目を迎えるわけで。


今後の付き合い方について話し合うとか、また1つ距離が縮まる時期なんじゃないかと思ったんだ。



「先月は受験間近だったので話せませんでしたけど……1ヶ月後には遠距離になってしまうので、今、ちゃんと話し合っておきたいなと……」



どうしよう。
自分から尋ねておきながら、震えが収まらない。

緊張のあまり、手まで震えてきた。



「っ、先輩の気持ち、教えてくださ……」



上手く言葉を紡げず、ジワリと目頭が熱くなった瞬間、そっと包み込むように抱きしめられた。



「もうそれ以上言わなくていいから。不安にさせちゃってごめんね」

「っ……」



後ろに回された彼の手が、優しく私の背中を擦る。

その温かさに、抑えていた感情がポロポロと溢れていく。



「ごめんなさい。せっかくのデートなのに……」

「大丈夫だよ。少し落ち着いた?」
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