猫目先輩の甘い眼差し
体を離して、こぼれ落ちる涙を拭ってくれた。
最後の最後で、泣き顔を晒してしまった。しかも先輩の部屋で。
下にご家族がいるというのに……。
「さっきの答え……もちろん、今より親密な関係になりたいと思ってる」
やっぱり……。
「だけど、今はこのままの関係でいたい」
「えっ」
このまま……?
キス止まりの今の関係でいたいってこと……?
「どうしてですか?」
「まだ早いかなと思って。それに、お互い夢を追ってる最中だから。もし何かあったら、世蘭ちゃんのほうに負担が多くかかっちゃうし。夢に向かうのを邪魔したくないよ」
真っ直ぐな目で、胸の内全てを吐き出してくれた。
色んな理由を並べてたけど、1番の本音が最後に詰まっていたような気がして、再び目頭が熱くなる。
「本当にいいんですか……?」
「うん。付き合ったからって、無理にする必要はないし。俺らは俺らのペースで、ゆっくり進んでいこう」
「はい……っ」
嬉しくなってガバッと抱きついた。
本当に、なんて素敵な人なんだろう。
幸せすぎて、また涙が出てきちゃいそう。