猫目先輩の甘い眼差し
「同じ呼び方ですけど、漢字が違うんですよ」と説明する、元クラスメイトと現クラスメイト。
笹森くんはともかく、樫尾くんも知ってたのか。
新学期始まってまだ数日なのに。名前を覚えるのが早いんだなぁ。
「市瀬さんは何グループに入ってるの?」
「犬と猫です」
「本当⁉ 俺も猫グループだよ! 何の種類が好き?」
一ノ瀬先輩の瞳が輝き出した。
学校も部活も、猫が好きなのも同じな上、名字も似ている。
本当、すごい偶然だ。
盛り上がった後、猫好き仲間記念として連絡先を交換。
その流れで樫尾くんとも交換し、電話帳とメッセージアプリに新たな名前が2つ追加された。
「市瀬さん、気をつけてね。零士先輩、めちゃめちゃ写真送ってくるから!」
「コラ、余計なことを言うんじゃない。それより、颯くんは何の用で来たんだっけ?」
「ひど〜い! 同好会に入りたくて来たんですよ!」
腹を立てる笹森くん。
用事も終わったし、これ以上長居すると邪魔になりそうだから帰るか。
「今日はありがとうございました。お先に失礼します」
「はーい。また部活でね!」
手を振る彼らに頭を下げて部屋を後にした。
一ノ瀬先輩、ちょっとイメージと違ったけど、素敵な人だったな。
再会した記念とお礼も兼ねて、後でトラ吉の写真を送ろうっと。