猫目先輩の甘い眼差し
◇◇



「今年も2組で2番かぁ」



春休みが終わった4月。

昇降口前の張り紙で、クラスと教室の場所を確認した。


今日は新学期初日。高校2年生最初の日。

緊張感を抱いたまま、靴を履き替えて校舎の中へ。


2年2組の教室に入り、黒板に書かれた座席表を見て席に座った。


8時を過ぎたばかりだからか、まだ人はまばら。
ちょっと早かったかな。


隣で寝ている女の子を起こさないよう、静かにバッグを開けて本を取り出す。

時間潰しに持ってきておいて良かった。



「あの……市瀬さんですか?」



名前を呼ばれて横を向くと、寝ていたはずの女の子が体を起こしていた。



「はいっ、そうです」



返事をして本を閉じる。

毛先を内に巻いた髪型で、可愛らしい雰囲気をまとっている彼女。

この整った顔、どこかで見たことあるような……。



「もしかして、同じクラスだった?」

「はい。楠木月香(くすのき つきか)っていいます」



思い出した。
おとなしくてあまり目立つタイプじゃなかったけど、確か女子の中で1番背が高かったっけ。
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