猫目先輩の甘い眼差し
そう言って大きな目を細めた一ノ瀬先輩。
あんなに脅されてたのに、ちょっと言い合ってただけって。メンタル強いな。それとも我慢しているだけ?
でも煽り方に余裕があったから、強がってはなさそう。
「白猫さん、こんにちは」
「あっ、こんにちはっ」
すると、先輩の背後からモデル体型のお兄さんが顔を出した。
白猫って、私のこと?
先輩が黒猫だから、ふざけて猫に例えたのかな。
「はじめまして。動物部副部長の目黒 雷夜です。この度はお騒がせして申し訳ありませんでした」
「いえそんな! こちらこそ盗み聞きしてしまってすみません。同じく動物部の、2年の市瀬 世蘭です」
お互いに名乗り、頭を下げ合うと。
「へぇ、同じ部活なんだ。何が好きなの?」
「犬と猫です」
「マジ?」
先週の一ノ瀬先輩のように、瞳がキラッと輝いた。
もしかして、この人も猫好きなのかな?
と思ったのもつかの間。
「なぁ、正直どっちのほうが好き? 例えば、6対4で少しだけ犬とか。それか、8対2でほぼ犬とか」