猫目先輩の甘い眼差し


そう言って大きな目を細めた一ノ瀬先輩。


あんなに脅されてたのに、ちょっと言い合ってただけって。メンタル強いな。それとも我慢しているだけ?

でも煽り方に余裕があったから、強がってはなさそう。



「白猫さん、こんにちは」

「あっ、こんにちはっ」



すると、先輩の背後からモデル体型のお兄さんが顔を出した。


白猫って、私のこと?

先輩が黒猫だから、ふざけて猫に例えたのかな。



「はじめまして。動物部副部長の目黒 雷夜(めぐろ らいや)です。この度はお騒がせして申し訳ありませんでした」

「いえそんな! こちらこそ盗み聞きしてしまってすみません。同じく動物部の、2年の市瀬 世蘭です」



お互いに名乗り、頭を下げ合うと。



「へぇ、同じ部活なんだ。何が好きなの?」

「犬と猫です」

「マジ?」



先週の一ノ瀬先輩のように、瞳がキラッと輝いた。

もしかして、この人も猫好きなのかな?
と思ったのもつかの間。



「なぁ、正直どっちのほうが好き? 例えば、6対4で少しだけ犬とか。それか、8対2でほぼ犬とか」
< 43 / 312 >

この作品をシェア

pagetop