猫目先輩の甘い眼差し
私がミーハーだと誤解されないように、一ノ瀬先輩が潔白であると証明するかのように、樫尾くんがきちんと説明してくれた。
これまでのやり取りを見た限り、交流は深そう。けど、相手は先輩で副部長。
恐ろしい声を聞いているのにも関わらず、ここまでハッキリ言えるなんてすごい。度胸あるなぁ。
「ごめんね、変な質問して。貴重な犬好きを見つけたと思って、つい興奮しちゃった」
「いえこちらこそ。曖昧な答え方しちゃってすみませんでした」
再び頭を下げ合った。
やっぱり……。例えに犬しか出てこなかったもん。
あの喜びようだと、比率は8対2か、9対1くらいかも。
「……疑って悪かったな」
「いいよ別に。好きなのはわかるけど、もう少し落ち着け」
「……ん」
仲直りしたものの、口がへの字になっている。
後輩に怒られた上に、かっこ悪い姿も見られちゃったから恥ずかしいのかな。
「あの、言い争ってたのって、部活関係のことですか?」
「うん。ここ最近、猫グループの規模がデカくなっててさ。こいつが会長の座狙ってんじゃねーかと思って問い詰めてたんだよ」