猫目先輩の甘い眼差し


「同好会では目黒先輩がリーダーなんですね」

「うん。試験の成績、俺のほうが良かったから」

「それ、仮免の時だけな」



ドヤ顔する目黒先輩に一ノ瀬先輩がツッコミを入れた。

春休みに一緒に入校して、新学期が始まる前に取ったらしい。


高校生でも乗れるのは知ってたけど、実際に乗ってる人は初めて見たかも。

学校が大きい分、色んな人がいるんだなぁ。



「あとね、この同好会、犬派と猫派でチームが分かれてるんだよ」

「そうなんですか⁉ どっちが多いんですか?」

「犬派が少し多いかな」



すると今度は目黒先輩が教えてくれた。


犬派は『ドーベル』といって、目黒先輩がよく似ていると言われる、ドーベルマンが由来。

一方猫派は、ヒョウ柄のワイルドなイメージと活発な特性から、『ベンガル』という名前をつけたのだそう。



「良かったら市瀬さんも入ってみない? ドーベルに」

「いやいや、そこはベンガルでしょ。市瀬さん、実際にベンガル飼ってるし」

「ええっ⁉ トラ猫以外にもいんの⁉」



「マジかよぉ」と目黒先輩の口から悔しそうな声が漏れた。

樫尾くんが言ってた通り、本当に負けず嫌いだ……。
< 47 / 312 >

この作品をシェア

pagetop