猫目先輩の甘い眼差し
「この2人、幼なじみ同士なんだよ。昔から対立してるんだって」
苦笑いしていたら、樫尾くんが耳打ちして教えてくれた。
なるほど。だから脅されても動じなかったのか。
どちらも、第一印象はかっこいいお兄さん。
しかし中身は、黙ってたらかっこいい、ちょっぴり残念なイケメンお兄さん。
樫尾くんが注意していた理由がわかった。
「あのー、俺らがいるの、忘れてません?」
「「あっ、ごめん」」
ハッと我に返った2人。
その顔がすっとんきょうで、思わずふふっと笑ってしまった。
「本当ごめん! 動物の話すると、つい暴走しちゃうんだよね」
「大丈夫ですよ。それだけ好きってことですし。私も口が止まらなくなる時ありますから」
眉尻を下げた一ノ瀬先輩。
不仲じゃないかと心配していたけれど、こうやって言い合えるのも、お互いをよく知っているからこそ。
仲良しだからこそ、だよね。
──キーンコーンカーンコーン……。
「わ、もうチャイム鳴っちゃった。じゃあ、また部活で!」
「あっ、すみません、今日は欠席します」