猫目先輩の甘い眼差し


棚の次に見せられたのはブッシュドノエルの写真。

これも冬休みに1人で作ったという。


小物から家具、さらには料理まで作れるとは……。
月香ちゃんは物を作るのが得意なんだなぁ。



「さすが掛け持ちしてるだけあって、技術が高いね。かっこいい」

「えへへ。ありがとう。楽しんでもらえて良かった」



照れ笑いしている月香ちゃんと目が合う。

私が落ち込んでいるのに気づいて、元気づけようとしてくれてたんだ……。



「そこの仲良しさん達、何見てるの?」



優しさに感動していると、後ろから樫尾くんに声をかけられた。



「月香ちゃんの傑作を見てたところだよ」

「傑作? 俺も見ていい?」

「どっ、どうぞ」



またまた王様が来たかのように、急いで場所を空けた月香ちゃん。

樫尾くんと3人でスマホ画面を覗き込む。



「これはテーブル? 椅子?」

「いや、踏み台。でも、椅子としても使ってるから兼用って感じ」



まだぎこちなさはあるものの、敬語からタメ語に変わり、以前より緊張が抜けた様子。

少し慣れてきて、最近は自分から挨拶してるんだって。
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