猫目先輩の甘い眼差し


興奮気味で尋ねてきた後輩に、先輩は笑顔で返答。


もしかして、さっきの『日本犬最高!』って声を聞いて……?

犬が好きって言っただけでめちゃめちゃ食いついてきてたし。あり得るかも。



「じいちゃんとばあちゃんちに犬がいるんだけど、その子がデカくてさ」



機嫌を良くしたのか、祖父母の家で飼っている犬の写真を見せてきた。


柴犬に似た茶色のワンちゃんで、名前はたけおくん。

雑種だけど、大型犬並みに体が大きく、秋田犬の血が混ざっているのではないか、とのこと。


学校では爽やかイケメンお兄さんだけど、この子の前ではデレデレしてるんだろうな。



「あの……ちょっといいですか?」



苦い笑みを浮かべていると、斜め前に座っている女の子が遠慮がちに口を開いた。



「実は先日、家族で話し合いをして……」



彼女の声に耳を傾ける。


この春新居に引っ越したのを機に、犬を飼おうかという話が出たらしい。

しかし、今までペット禁止の場所に住んでいたため、あまり動物に慣れておらず、ちょっぴり不安なのだそう。
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