猫目先輩の甘い眼差し
「基礎知識は一通り勉強したんですけど、飼育経験がある人の話を1度聞いておきたいなと思いまして。何かアドバイスありますか?」
「そうだなぁ……」
アドバイス……うーん、なんだろう。
最初から犬がいた環境で育ったからか、パッと出てこない。
気軽に遠出や旅行ができなくなるとか、お金と時間と体力が必要とかは、基本中の基本だし……。
「どんな子にするかは決まってるの?」
「いえ……決まっているのは小型犬ってことだけです」
「そっか。小型犬なら威圧感ないしいいかもね」
すると、沈黙を破るように目黒先輩が口を開いた。
「もし俺が今から飼うとしたら、まずは環境をチェックするかな。ご近所さんは犬飼ってる?」
「はいっ! うちの周りみんな飼ってて、あちこちから鳴き声が聞こえてきます」
「それなら多少吠える子でも大丈夫そうだね。ご近所ワンコが散歩してたら触れ合ってみるといいよ」
優しい表情と声色。そして的確な助言。
不安を和らげるその姿は、後輩を思いやる先輩そのもの。
だてに副部長やってたわけじゃなかったんだ。