猫目先輩の甘い眼差し
左隣で話す彼に耳を傾ける。
部活仲間とのご飯は、恐らく一ノ瀬先輩達のことだろう。
一昨日、バイク同好会の記念会をしたって聞いたから。
あの時、間違えて自分がうつってる写真まで送っちゃって、本当に恥ずかしかった。
気づくまで既読無視されてたけど……あれは先輩の優しさだと捉えておこう。
それよりも。
「樫尾くん、お菓子好きなの?」
「まぁ、それなりに。意外?」
「うん。甘い物苦手そうなイメージだったから」
顔立ちも雰囲気もクールで近寄りがたくて、甘い物よりも、辛い物やお肉が好きそうなイメージがあった。
そんな樫尾くんが、お菓子屋さんでカステラを売ってただなんて……。
一ノ瀬先輩や目黒先輩といい、どうしてこんなにギャップが強いんだろうか。
バイク同好会はギャップ持ちの人が多いのかな?
笹森くんも何気にそうだし。
もしかして入会条件に入ってるとか?
「市瀬さんは何してた?」
「へ? あぁ……本読んでたよ。あとは猫と遊んだかな」
ハッと我に返り、平然を装って返答した。