猫目先輩の甘い眼差し
どこにも行かず、ひたすら家で作ってばかりだった月香ちゃん。
休み返上で働きまくった樫尾くん。
対して私は、読書して愛猫と戯れただけ。
遠出や旅行はしていないのに、自分だけいつも通りの過ごし方。
2人にとっては忙しかったんだろうけど……ちょっぴり羨ましいなと思った。
✾✾
放課後。
「失礼します。あっ、先輩」
「おっ! 久しぶり!」
生物室に向かうと、入口近くの席で女の子達と話している目黒先輩を見つけた。
「市瀬さん、今日髪型違うね」
「湿気でうねってきたので、途中で結んだんです」
「俺も。朝から雨酷かったもんな〜」
席を立ってやってきた、ポンパドールヘアの目黒先輩。
緩んだ口元と輝く瞳。
そして、この場所にいるということは……。
「それよりこっち来なよ! こないだ犬飼いたいって話してた女の子、とうとうお迎えしたんだってよ!」
あぁやっぱり。犬トークしに来てたんだ。
その話は既に先週教えてもらっている。
相談した結果、トイプーくんをお迎えしたって。
詳しく聞きたいのは山々だけど……。