きみは桜姫。



ガラッ


その時、タイミング悪く宙が入ってきた。


「風雅……何してんだよ」
宙は言った。


「見たらわかるだろ」

「大丈夫、宙くん、私何もされてない」
あかりがそう言うと、

「どうして嘘つくんだ、あかり」と宙。

「ううん。わたし、大丈夫。風雅くんにちょっと、壁ドンされたけど、びっくりしただけ」

「…………」
宙は黙っている。

「宙、殴れよ。前みたいに」


「殴らねえよ」


「ははは、はははは……」
俺は気がおかしくなったように笑った。

「おい、大丈夫かよ、風雅」

「俺は最初から壊れてるよ……」


「……そんなの関係ない。
風雅、今度ばかりは許さないからな」
< 157 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop