きみは桜姫。
休憩しつつ車を走らせていくと、

次第に空が青く、
夏の入道雲はより厚く、
草木の緑が深くなってきた。



視界が開けて、左側には海が見える。

俺とあかりは車を止めて、海を眺めた。


「わぁぁ。海だぁ」
あかりは言った。

潮の香りがする。

この街で母さんは、
父さんと出会った……

波は荒々しく、小刻みに波打って、
岩と崖を打ち付けていた。



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