きみは桜姫。
「大丈夫よ、宙。ミシンはどこだったかしら……宙、あそこにあるわ。とってくれる?」そして母さんは空咳をした。

俺はタンスの上のミシンをとって、
ちゃぶ台に置く。

うちは母子家庭だった。

父親は俺が幼い頃に亡くなった。

それに母さんは体が弱くて、
喘息持ちだった。母さんは働けない。
うちは貧乏だった。

< 43 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop