きみは桜姫。
俺はまたボロボロのアパートに帰ってきた。

「宙、渡せたの?」母さんは俺に尋ねた。

「……うん」おれは悲しみをこらえて言った。

「そう、じゃあ銭湯に行きましょう」
母さんは言った。

俺の着替えやタオル、シャンプーにボディーソープ、全部揃っていた。

母さん。ごめん。

せっかく育ててくれたのに。

俺、こんな人間になってしまった。
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