きみは桜姫。

15分後くらいだっただろうか。
1階の扉から、ガチャっという音が聞こえる。
宙くん、帰ったのかな……


お母さんがまた上がってくる。

「あかりは大丈夫ですか?だって」お母さんは言った。

「何て答えたの」

「いまはゆっくりさせてるって言ったわ。

これ、宙くんの家の電話番号だそうよ。
何かあったら、電話してほしいって」

お母さんは宙くんの電話番号を私にくれた。

その電話番号を私は、いつも机の上の見える場所に置いていた。

毎日、宙くんのことを考えていたけど、宙くんに電話することができなかった。

なんでだろう。宙くんのことが好きだけどなんだか、気まずかったし、学校に来てほしいと言われたら困ると思っていたから……
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