西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
「はぁー、またそんなこと言うんだからなぁ…」
呆れる紫苑。

「朱雀、やめて…お願い…!」
「だって花苗は、僕のモノだもん」
そう言って、顔を寄せてくる。
「朱雀…ここでは…」

「失礼いたします!!!」
そこに突然大きな声が遮った。

「基一?何?」
「若様、紫苑様申し訳ありません!少し耳を…
━━━━━━━━」
基一が二人に、耳打ちする。

「またアイツが?」
「はい。オヤジが二人でないと対応できないからと……」
「…………兄さん、真白!
少し、花苗をお願い!」
そう言って、花苗を手を黄河に渡した。

「あぁ、任せろ!」
「でも朱兄ちゃん、早く帰ってきてよ!
不安になるし、苗も寂しがるから!」
黄河が花苗の手を握りながら言って、真白は朱雀にすがるように言った。

「うん、わかってる。ごめんね、花苗。
すぐ帰ってくるからね!」
「花苗ちゃん、ちょっと待っててね!」
最後に頭を撫で、紫苑と会場を後にした朱雀だった。

その朱雀をしばらく見つめ、理緒達に向き直る花苗。

「フフ…可愛い、花苗」
「え?」
「そんな切ない顔しちゃって(笑)」
「あ……ごめんね…さっきから…」
「ううん!」

「花苗」
「ん?黄河さん、何?」
「少しだけなら、他の友人と話してきていいぞ!」
「え……!?」
「朱兄ちゃんがいたら、絶対無理でしょ?
今ならいいよ!あ、でも!女だけだよ!」
「その代わり、30分。
あと、俺達から見えるところにいろ!」

「うん!ありがとう!」
そう言って花苗は、理緒達と他の友人の輪の中に向かった。

「嬉しそう!苗。
ちょっと、複雑……」
「最近、朱雀の執着が増してるからな。
少し位、花苗にも息抜きをさせねぇとまた……」

「“あの時”みたいになる?」

「あぁ、次…あの時みたいになったら、きっと……
朱雀は躊躇なく、花苗を殺るだろうな。
そうなると俺達は、朱雀と花苗を失う事になる」
「そうだね…
それに俺達は、花苗から“大切な人”を永遠に奪ったもんね……」
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